横浜国立大学,橋と自然研究グループからのメッセージ

ごあいさつ

多々羅大橋

第T研究分野では,「橋と自然研究室」として,新しい今まで夢見てきた構造物を作る時、使っていく時に,遭遇する諸問題を研究テーマとしております.

 例えば,新しい橋梁としての長大橋では何を考えたらいいでしょう。永く多くの方に愛されるものとして、安心して使って頂くために何をすればいいでしょう。災害に強いことも必要でしょうし、心安らぐ、あるいはドラマティックな風景となることも考えてもいいでしょう。
 私どもは、誰もができることはお任せして、私どもが寄与できる振動や風の問題を中心とした諸問題を、パズルの一部といった位置づけで考えていきたいと思っています。
 もう少し専門的にいえば、橋梁,吊り形式橋梁,風工学,耐風工学がキーワードになり,風洞実験を駆使して空力弾性問題を考えます。また、構造物の動きとしての耐震の問題も大きな意味で振動の一部です.さらに詳細には,大気境界層低層の風の問題を扱うために,気象学,地学,環境の問題を考えます.さらには構造物の振動の問題を扱うために,不規則な問題も扱わざるを得ず,確率過程論,統計学などなど,振動力学,機械工学にとどまらず,振動を効率的に制御する制御問題も扱います.さらには,エネルギー問題から騒音問題まで,風環境,振動問題,社会基盤施設のキーワードが関与する守備範囲です.
 私どもは幸運なことに,明石海峡大橋,多々羅大橋,来島海峡大橋,瀬戸大橋などの本州四国連絡橋プロジェクトを初めとして,レインボーブリッジ,鶴見つばさ橋,横浜ベイブリッジなどの首都高速道路公団プロジェクト,名港三大橋などの道路公団プロジェクト等の国家的長大橋プロジェクトに参画することができ多くの貴重な知見を得ることができました.このときの大きな喜びであった,「研究対象でしかなかった構造物が竣工して目の前に現実のものとして現れたときもつ大きな感動」を,次世代をになう学生に伝えたい、味わってもらいたいと思っています.写真にある多々羅大橋は現時点で世界最大の斜張橋で,私どもの研究成果である空力弾性ケーブルが大きな寄与をしております

 何かご心配があったらご相談ください。できる限りのご協力はさせて頂きます.

2004年9月

教授 山田 均